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人の中心は情緒である。by 岡潔

 
 先日、岡潔先生をモデルにしたドラマがTVで放送されていた。それで、先生の著作(「春宵十話」「春風夏雨」等)を思い出した。

 世界的に有名な日本の数学者、岡潔先生。多変数複素函数論という難題を解いたことで知られる。
岡先生の著作には数学の他に、教育、宗教、芸術、日本文化について詳細に書かれており、それらの造形も深いことが伺える。

「人の中心は情緒である。」

 岡先生の著作を読むと必ずこの言葉に出会う。
論理を取り扱う数学者から「情緒」という言葉が出てきたことに当初は驚いた。
(また、学生時代に岡先生は「計算も論理もない数学をしたい。」と言っているエピソードには更に驚かされた。)
しかし、その意味するところを仏教や芸術(芥川龍之介、夏目漱石、松尾芭蕉、ドストエフスキー、ピカソ)を引用して説明しており、とても勉強になった。

著作の中で岡先生の人生における様々なエピソードが書かれているのだが、その中でも以下のエピソードが印象深かった。

「私は「数学なんかをして人類にどういう利益があるのだ」と問う人に対しては、スミレはスミレのように咲けばよいのであって、そのことが春の野にどのような影響があろうとなかろうと、スミレのあずかり知らないことだ、と答えて来た。」

春宵十話 随筆集/数学者が綴る人生1 (光文社文庫)

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春風夏雨 (角川ソフィア文庫)

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人間の建設 (新潮文庫)

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