モナリザ本:RISC-V原点 オープンアーキテクチャのススメ
単純であることは究極に洗練された状態である。 by レオナルド・ダ・ヴィンチ
RISC-Vの初の日本語の著書である。
基本ISAであるRV32Iを始めとして拡張ISAであるRV32M、RV32F、RV32D、RV32A、RV32C、RV32V、RV64を順を追って解説している。
各章にダヴィンチを始めとする偉人のシンプルに関する名言が引用されているところがまた良い(個人的にはシーモア・クレイ、エドガー・ダイクストラ、アルベルト・アインシュタインが引用されていることが嬉しかった)。
RISC-Vは過去のマイクロアーキテクチャを徹底的に研究し定量的な評価に基づいて設計されている。
故にシンプルさを徹底的に追求しており、マニュアルのページ数はARM-32やx86-32と比較して約10分の1
となっている(以下の表を参照)(これが、ダヴィンチの言うところの究極に洗練された状態なのかも知れない)。
ISAマニュアルの比較
ISA | ページ数 | 語数 | 所要時間 |
RISC-V | 236 | 76,702 | 6 |
ARM-32 | 2736 | 895,032 | 79 |
x86-32 | 2198 | 2,186,259 | 182 |
(ディビット・パターソン, アンドリュー・ウォーターマン, RISC-V原点 オープンアーキテクチャのススメ, p13, 図1.6から引用)
パタヘネ本でおなじみのMIPSを勉強した人はもちろんのこと、これからコンピュータアーキテクチャ(命令セットアーキテクチャ)を勉強する人にもオススメの本である(より深い詳細は以下の参考文献を参照のこと)。
蛇足ではあるが、私はこの本のことを「モナリザ本」と言っている。「計算機プログラムの構造と解釈」を「魔術師本」と言ったり、「コンパイラ―原理・技法・ツール 」を「ドラゴン本」と言う人がいるように、この本も「モナリザ本」と呼ばれるような気がしている。
- 作者: デイビッド・パターソン,アンドリュー・ウォーターマン,成田光彰
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2018/10/18
- メディア: 単行本
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参考文献
- 作者: David A. Patterson,John L. Hennessy
- 出版社/メーカー: Morgan Kaufmann
- 発売日: 2017/04/27
- メディア: ペーパーバック
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[Design of the RISC-V Instruction Set Architecture]
https://www2.eecs.berkeley.edu/Pubs/TechRpts/2016/EECS-2016-1.pdf
[The RISC-V Instruction Set ManualVolume I: User-Level ISADocument Version 2.2]
riscv.org